みまもりコラム
高齢者見守りカメラのプライバシー問題|導入時の注意点と対策

高齢の家族を見守る手段として、カメラを使った見守りシステムが注目されています。離れて暮らす子ども世代にとって、スマホで親の様子を確認できるのは大きな安心です。けれど、その一方で「見守ること」と「見られること」の境界線に戸惑う方も多いのではないでしょうか?
「高齢者の安心と引き換えに、本人の自由や尊厳が損なわれてしまうのではないか…」そんな心配が、見守りカメラを導入する際に立ちはだかる“プライバシーの問題”です。善意の見守りが、時にストレスや不信感を生んでしまうこともあります。
この記事では、見守りカメラの設置や運用におけるプライバシーの課題を整理しながら、本人の気持ちに寄り添ったカメラの選び方・使い方をわかりやすくご紹介します。大切な人の生活を見守るうえで、本当に大切にすべきことを、一緒に考えてみましょう。
Table of Contents
見守りカメラのプライバシー問題とは

高齢者の安全を守る手段として注目されている「見守りカメラ」。離れて暮らす家族にとって、カメラを通じて日々の様子を確認できることは大きな安心につながります。しかしその一方で、見守りカメラの設置には「プライバシーの問題」がつきものです。この章では、導入時に特に注意すべき代表的なプライバシーの課題について、わかりやすく解説していきます。
常に見られていると感じること
見守りカメラがもたらす安心感の裏側には、「常に誰かに見られているかもしれない」という心理的な負担があります。カメラが日常的に作動していることで、高齢者本人が落ち着いて過ごしにくくなるケースもあります。リラックスできるはずの自宅が、いつの間にか“監視の場”になってしまうと、生活の自由や自己決定権が損なわれてしまう恐れもあるのです。
設置する場所の問題
どこにカメラを設置するかは、プライバシーへの配慮において非常に重要です。特に、寝室やトイレ、浴室などの空間にカメラがあると、日常生活の最もプライベートな場面までが映されてしまいます。たとえ家族の安全を考えての設置であっても、本人の感情を無視してしまうと、強い抵抗や不快感を招く原因になります。必要以上に“見えすぎない”工夫が求められるポイントです。
映像データの扱い方
カメラによって記録された映像には、個人の生活がそのまま映し出されます。これらのデータは、取り扱いを誤ると大きな問題を引き起こす可能性があります。例えば、保存しているデータが外部に流出したり、アクセスできる人の管理が不十分だったりすると、思わぬかたちでプライバシーが侵される危険があります。データの保存期間や、誰がどの範囲まで閲覧できるのかといったルール作りが欠かせません。
本人の同意がない設置
もう一つ見落とされがちな問題が、「本人の同意を得ずにカメラを設置すること」です。本人が納得していないまま見守りカメラが導入されると、監視されているという不信感につながりやすくなります。たとえ善意であっても、勝手に設置することは避けるべきです。設置の目的や使い方について丁寧に話し合い、お互いの理解を深めることが、安心できる見守り環境の第一歩となります。
プライバシーを守る高齢者見守りカメラの選び方
高齢者を見守るカメラは、安心と安全を支える大切なツールです。しかし、それと同時に「プライバシーをどのように守るか」という視点も忘れてはなりません。この章では、高齢者の暮らしに寄り添いながら、プライバシーにも配慮したカメラ選びのポイントを具体的に紹介していきます。
必要なときだけ映すしくみ
高齢者が「見られている」と感じないようにするためには、必要なときだけ映像を記録する機能が重要です。例えば、動きを感知したときだけ録画を始める設定ができるものや、一定の時間だけ映像を送るように調整できる機能があると、常時監視の負担を軽減できます。これにより、日常のリズムを大きく崩すことなく見守りを続けることができます。
映さない場所をつくる
カメラの設置場所もプライバシー保護には欠かせません。カメラはできる限り生活の中心から少し離れた場所に置くのが理想です。特に寝室やトイレ、浴室といったプライベートな空間は、基本的には避けるべき場所です。また、カメラによっては、画面内の一部を「映さないようにするエリア設定」ができるものもあり、見せたくない空間を事前に除外しておくことで、安心感が生まれます。
データの守り方に注目する
映像の記録や保存に関する安全性も、大切なチェックポイントです。データがどこに保存されるのか、その保管先が安全なのかを事前に確認することが必要です。さらに、アクセスするためのパスワードや、誰が映像を見られるかという設定の細かさも重要です。必要な人だけがアクセスできるようにしておけば、情報漏れのリスクをぐっと減らすことができます。
操作のしやすさと気づきやすさ
操作方法が複雑だと、うまく活用できなかったり、不要なトラブルにつながったりします。誰でも迷わず使えるシンプルな操作性のあるカメラを選ぶことは、長く使う上での安心材料となります。また、何か変化があったときだけ家族に通知が届くような機能も便利です。必要な時にだけ反応する仕組みが、監視というよりも「そっと見守る」スタイルを支えてくれます。
お互いに納得してから設置を
どんなに優れたカメラでも、本人が納得していなければ意味がありません。カメラを設置する前には、家族や介護者だけでなく、必ず高齢者本人にも説明を行いましょう。「なぜ設置するのか」「どこまで見られるのか」「いつ使うのか」などを丁寧に伝えることで、本人の安心にもつながります。信頼関係を守るためにも、このステップはとても大切です。
高齢者のプライバシーに配慮したカメラの選び方は、「技術」だけでなく「思いやり」にも支えられています。安心と尊厳を両立させるカメラ選びを心がけましょう。
カメラ導入前に押さえたいポイント

高齢者の見守りカメラを導入する際には、ただ設置するだけではなく、その前段階から細かな配慮が求められます。本人の尊厳を大切にしながら、安全性や利便性を実現するには、いくつかのポイントをしっかり押さえておくことが重要です。
同意は必ず取ることから始める
まず最初に取り組むべきは、本人や家族への十分な説明と同意の取得です。高齢者本人が納得していないままカメラを設置してしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。信頼関係を守るためにも、「なぜ必要なのか」「どのように使うのか」を丁寧に説明し、納得のうえで進めることが基本です。
設置場所にしっかり配慮する
どこにカメラを設置するかは、プライバシーへの配慮に直結します。トイレや浴室、居室などのプライベートな空間は、原則として設置を避けるべきです。見守りが必要な場所は、共有スペースや出入口などに限定し、本人の生活の自由を守る姿勢が大切です。
カメラのデザインも意識する
意外と見落とされがちなのが、カメラそのものの外観です。大きく目立つカメラや威圧感のある形状のものは、高齢者にとってストレスの原因になりやすく、設置することで逆に安心感を損なうこともあります。できるだけ目立たず、生活空間に自然になじむデザインを選びましょう。
プライバシーに配慮した機能を活用する
最近では、プライバシーモードや一部エリアの撮影を制限できる機能があるカメラも登場しています。こうした機能を活用すれば、必要な部分だけを映し出し、それ以外の空間は記録しないなど、細やかな調整が可能になります。本人のプライバシーを守りつつ見守りができる工夫はとても重要です。
データの管理体制を整える
録画された映像データは、個人情報のかたまりです。保存期間をあらかじめ設定し、不要になったデータは速やかに削除するようにしましょう。また、アクセスできる人を限定し、パスワードの管理も徹底することで、情報漏洩のリスクを減らせます。
ルールを作って共有する
導入前には、カメラの使用目的や閲覧ルール、データの取り扱い方法などを決め、関係者間で共有しておくことが欠かせません。トラブルを未然に防ぎ、誰もが納得した形で見守りを進めるための、大切な準備ステップです。
カメラの設置は、単なる防犯や安全対策ではなく、高齢者本人の暮らしの質を左右する要素にもなります。事前のひと手間が、安心と尊重のある見守り環境づくりにつながります。
まとめ
高齢者見守りカメラは、安心や安全を支える頼もしい存在であると同時に、プライバシーへの深い配慮が求められるツールでもあります。常時の監視ではなく、“そっと見守る”ことができる機能や設置場所の工夫、そしてなによりも本人の同意と理解があってこそ、真に意味のある見守りが実現します。
また、映像データの管理やアクセス権の設定、目的外利用の禁止など、技術面だけでなく運用ルールの整備も欠かせません。導入前にしっかりとルールを話し合い、導入後も定期的に見直すことで、長く信頼される見守り体制を築くことができます。
カメラを通して見つめるべきなのは、単なる映像ではなく、高齢者の暮らしそのもの。その人らしい日々を尊重しながら、安全に寄り添うための第一歩として、プライバシーへの配慮を常に心に留めておきましょう。
そっと寄り添う見守りに、LINEという選択肢を

高齢者見守りカメラには安心と同時に、プライバシーという繊細な問題が伴います。「監視ではなく、見守る」という関わり方を大切にしたい方には、LINEを使った見守りサービスという選択肢もあります。スマートフォンを使って、安否確認や日常のやり取りができるこのサービスは、映像を使わずに“つながり”を保つ方法として注目されています。離れて暮らす家族が、自然に寄り添える手段として、ぜひ検討してみてください。

株式会社サンケア
代表 山下裕子
私たちは、香川県さぬき市で2010年から訪問介護センターとデイサービスを運営しています。
社名「サンケア」は、「我が心で介護を行う」という思いを込めて名付けました。訪問介護やデイサービスを提供する中で、だれもが「大切な時間を自分らしく生きられるようにお支えしたい」という 思いが強くなっていきました。
「今は自立していても、不安なときには誰かに見守ってほしい」そのような方からの声が、寄り添いサービス「サンラブライン」の立ち上げのきっかけです。一人一人の人生を大切に、充実した毎日を 過ごしてもらえるようサポートしていきます。一人暮らしに不安を感じている方、一人暮らしの親を心配する方、お気軽にご相談ください。